真顔のうえすとさんをモノクロの世界で撮るなら

斉藤工がモノクロで撮る重岡、という予告に踊らされました。真顔のうえすとさんをモノクロの世界で撮るなら(国内限定)というテーマで考えてみた。

 

重岡→真冬の雪山
桐山→万華鏡みたいな鏡の世界
中間→都会の夜のヘリポート
神山→オフィーリア
藤井→真夏の小さな神社
濵田→三十三間堂
小瀧→大学の解剖室

 


順に詳細を。

 

【重岡@真冬の雪山】
寒がりな彼は直前まで顔をしかめているけれども、シャッター音が一面の雪に吸い込まれる頃にはそんな表情を見せなくなる。アップの睫に雪が積もり、濃色のアウターには美しい結晶がはっきりと残る。温度を感じさせないモノクロの世界ではあるものの、色の濃淡が浮かぶ耳からは、彼の体温や、肌の下に流れる血液の温かさを感じ取れる写真を撮りたい。

 

【桐山@万華鏡みたいな鏡の世界】
角度をつけた鏡の中で、余すことなく四方八方から彼を写す。角度が増えるほどに被写体としての彼の姿は増えるのに、彼自身が見えなくなる。完全に皮肉めいた世界で、シチュエーションを逆手に雰囲気をしっかりと作って、深読みすらさせる表情を見たい。目は勿論だけどそれ以上に語ってくれそうな、手や指先のカットもほしい。

 

【中間@都会の夜のヘリポート
吸い込まれそうな暗い空。足元には無数のライトが存在する。小雨がちらつく中、柵の向こう側に行ってほしい。下からの風に長めのアウターの裾や髪がなびく。口を引き結び、眼下を見下ろす眼差しの強さを、横顔から。何を感じ、何を考えるのか。ビルの屋上に吹く風の冷たさを感じられるような写真を撮りたい。

 

【中間Ex.@某ショップ】

(名前は出せないけれども実はこちらが本命!)
高い天井からの光を反射して、整然と並ぶフラスコの曲線が白く浮かび上がる中、男性にしては華奢な細い指がそのひとつを持ち上げる。ビロードの幕も、足元の幾何学柄も、空間そのものが彼を引き立てる。都会の真ん中にそこだけひっそりと浮かび上がるような、まるで香りがここまで届くような、そんな写真を撮りたい。


【神山@オフィーリアオマージュ】
花を選ぶショットと、それから有名なオフィーリアをオマージュした1枚を。まさに今咲き誇る花、朽ち始めた花、まだつぼみの花、大小さまざまに色も形も異なる花々が水面に浮かび、あるいは沈む。実際には色とりどりの花々がモノクロになって色彩を失うそこに、静かに瞼を閉じて水面に浮かぶ神山さんを撮りたい。川じゃなくていい。カナズチの彼だからこそ、水面に横たわるところを収めたい。


【藤井@真夏の小さな神社】
社務所もなく常駐の宮司さんもいないような、忘れ去られたような小さな神社で、1年でいちばん暑い日に撮影したい。参道の白い御影石、水分が抜けて乾燥した社殿、寄り添うように茂る大樹によってできる濃い影。時間が止まったかのようなその空間に、迷い込んだ異質のもののように藤井くんに佇んでいてほしい。大音響の蝉の鳴き声が聞こえてきそうな写真を撮りたい。


【濵田@三十三間堂
ひとつとして同じ表情はない荘厳な仏像群と共に、正面をしっかりと向くもよし、相対するもよし、かすかに瞼を伏せて彼自身も仏像のごとく起立するもよし。仏像という生ある無機物の中に、たったひとつの有機体として濱田さん存在する。明暗の効いた宇宙すら感じる写真になりそう。堂内のあの少しひんやりとした空気が伝わってくるような、そんな写真を撮りたい。

 

【小瀧@大学の解剖室】
塵ひとつなく過敏なほどに磨かれたステンレスから、ここがどういう場所か、具体的な器具や標本はなにひとつ出ていなくとも、その台がなにに使われるのかが分かる。死の色を隠しきれないその場所で、感情を削ぎ落としたかのような表情を貼り付け、瞳が揺らぐ最年少を撮りたい。時間は昼。全体に明るめ。消毒液の香りを思い出してしまうような、そんな写真を撮りたい。


【全員@伏見稲荷大社本宮祭】
モノクロの写真なのにあの朱色の鳥居を思い浮かべる。だからこそ、モノクロで撮りたい。また本宮祭には鳥居に提灯が飾られ、明かりが灯る。年に2日しか見られない幻想的で非日常的な景色の中、千本鳥居はもちろん、三ツ辻すぎて人の気配が薄くなった先、ところどころ台座のみの鳥居も現れる場所でも、『今』の彼らを撮りたい。

 

以上、お粗末さまでした。